Mini-Circuits Japan株式会社

複数の車載システムへのGNSS信号供給

GNSSを構成する衛星と自動車を接続するには、アンテナと非常に高感度で専用の受信機が必要です。各車載システムは独自のGNSS受信機を備えており、それぞれの受信機が対応するシステムにGNSSからの座標を入力し、そのデータは車両内全体で活用されます。各受信機を、潜在的なノイズフロアの問題、スプリアス放射、隣接する受信機からのLO漏洩から守ることは、システムの成立にとって極めて重要です。Mini-Circuitsは、受信機同士を分離するだけでなく、低損失で小型、堅牢かつ信頼性の高いソリューションを提供しています。GNSS信号を複数の車載システムに接続する際にMini-CircuitsがどのようにRFフロントエンドを分離するかを、以下にてご紹介します。

現代の車載システムにおけるGNSS

GNSS(Global Navigation Satellite System、全球測位衛星システム)は、全地球規模で測位・航法・時刻情報を提供する、あらゆる衛星群を包括する総称です。GNSS由来の位置精度は、これまでの数十年でメートル単位からセンチメートル単位へと向上してきており(図1参照)、自動車分野での適用範囲は大きく拡大し、今なお広がり続けています。

車両が始動し走行中は、GNSSデータはナビゲーション、車両追跡、数多くのADAS(例:車線保持、アダプティブクルーズ、衝突回避)やV2X、テレマティクス、eCallなどで同時に利用されています。車両が事故に巻き込まれた際は、車両の電源が切れていることが多いものの、救急サービスに座標データを自動送信するためにはGNSSの利用を継続する必要があります。さらに車両の電源が切れている状態で盗難が検知された際には、車両は追跡プロトコルを起動し、車両の発見・回収を支援しなければなりません。これらの緊急時のシナリオは、車両の電源が入り走行中に普段GNSSデータを使用している多数の運用アプリケーションとは、切り離しておくことが重要です。

GNSS活用事例 – 複数システムへの独立した同時出力

GNSSに依存するシステムを同時に運用するには、配線の複雑さやSWaP-C(サイズ・重量・電力・コスト)を増やさないよう、単一のフィード/アンテナから2系統以上にGNSS RF信号を分配する必要があります。実際にこのソリューションを実装するにあたっては、SWaP-Cが最優先事項です。

単一のRF入力からほぼ同一の2出力を得る最も簡単な方法は、パワーディバイダを使うことです。重要な衛星群(GPS、Galileo など)は、おおよそ1.1〜1.6 GHzの周波数帯に収まります(L1 は1.559〜1.61 GHz、L2 は1.215〜1.254 GHz、L5 は1.164〜1.214 GHz)。そのため、図2に示す設計では、AEC-Q200認定の同相パワーディバイダ SCG-2-242AT+ と外付け0603サイズの100Ω抵抗を用いています。このRFパワースプリッタは1〜2.4 GHzで動作し、必要なL1/L2/L5 GNSS信号を十分にカバーする帯域幅を備えています。

図2は、同相電力分配器 SCG-2-242AT+ が、イグニッションがON(オレンジ)で必要な機能、またはON/OFFいずれの場合でも必要な機能(水色)に対して、アイソレートされた信号をどのように供給するかを示しています。GNSSの1.1〜1.6 GHz帯において、代表的な損失は図3に示すとおり約3.5 dB以下です。2本の挿入損失曲線の差で示される振幅アンバランスは、通常0.1 dB未満です。さらに図3では、2つのGNSS RF出力間のアイソレーションは13〜26 dB(約20〜400倍)であり、各ポートのリターンロスも優れています。

SCG-2-242AT+はGNSSアンテナ入力を分配し、優れた電気的性能を実現します。GNSSの信号レベルはほとんどが非常に微弱のため、従来の3 dB同相パワーディバイダが利用できる状況では、抵抗分配(理論値で-6 dB)やその他の特殊な手法を採用するリンクバジェット上の余裕はほとんどありません。さらに、GNSS信号レベル自体が非常に弱いため、車両側でのS/N比はかなり低く、感度の高い受信機の入力に追加のノイズは許容できません。十分なアイソレーションを確保することで、ある受信機からのLO漏れやスプリアスが別の受信機へ回り込むことを防げます。SCG-2-242AT+の低損失、低振幅アンバランス、高アイソレーションという特性はそれぞれ、車載された異なるGNSS利用システム同士が、可能な限りクリーンで、相互に感度劣化を起こさない状態を維持するうえで重要な役割を果たします。

小型で堅牢なRF電力分配器 – どんな過酷な温度にも対応

RF/電気的性能が優れていることはすでに実証されていますが、機械的特性も見過ごせないほど優れています。パワーディバイダは低温同時焼成セラミック(LTCC)部品で、GE0805C-1パッケージに収められており、サイズはわずか0.08 × 0.05インチです。100Ωの抵抗は外付けで、小型の0603チップ抵抗を使うだけです。この体積効率に優れた設計は、混みあった基板上のほぼどこにでも実装でき、質量も非常に小さいため、厳しいSWaP-C要件の多くを満たします。許容電力は2Wですが、受信側でこれが必要となることはほとんどありません。SWaP-Cのコスト面についても、SCG-2-242AT+は自動車向けの大規模生産において競争力のある価格設定になっているのでご安心いただけます。

SCG-2-242AT+は優れたRF性能と機械的特性だけではなく、LTCC技術を採用したモノリシック構造も特徴としています。堅牢性と信頼性に優れ、-40℃から+105℃という広範な温度変化や過酷な使用環境にも十分対応可能です。

豊富なコンポーネント群 – AEC-Q200準拠、または認定取得対応可能

本記事で取り上げたパワーディバイダの用途は、Mini-Circuitsのまさに得意分野です。当社の幅広い製品ラインアップを見渡せば、さらに厳しい自動車向け要件にも応えられるコンポーネントが多数揃っていると自負しています。

AEC-Q200に適合済みのコンポーネントはすでに約80品目に上り、フィルタ、ダイプレクサ、90°ハイブリッドスプリッタ、バラン、カスタムソリューションなどが含まれます。さらに、その10倍以上の品目が認証取得に向けて対応が可能です。また、自動車向けカスタム設計対応範囲は事実上無限です。こうした高い部品の準備状況に、当社のグローバル展開(米国、EU、英国、台湾、韓国、中国、日本にオフィスを保有)を兼ね備えることで、Mini-Circuitsは現在そして将来にわたり、自動車市場に最適なパートナーとなっています。

自動車向け製品に関するお問い合わせは、弊社Mini-Circuits Japanまでお気軽にご連絡いただくか、下記リンクをご参照ください。

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